■繋がる未来―秘密の部屋―

22:尋問裁判


 魔法省のある一室で軽く話をしていたのも束の間、いつの間にか懲戒尋問になると聞かされたハリエットは何が何だか分からなかった。

 懲戒尋問がどういうものかも分からなかったし、自分がいつホグワーツに帰れるのかも分からない。ハリエットは不安でいっぱいだった。

 気を落ち着かせる間もなく定刻になり、ハリエットは闇祓いに促されエレベーターに乗った。尋問は十号法廷で行われるらしい。随分と下まで降りていったが、そこからまた更に階段を降りる。いくつもの廊下を通り、ようやく扉のある場所へ出た。扉は複数あったが、巨大な錠前がついた扉の前で止まるよう指示される。ここが十号法廷だろう。

 入室までのしばしの時間、不安と戦っていると、バタバタと足音が聞こえてきた。ハリエットはまた身体を強ばらせたが、シリウスだと分かるとその顔に少し血色が戻った。

「ハリエット! 大丈夫か?」
「ええ、私は……」
「わたしたちが絶対に何とかする。退学なんてさせるものか!」
「ミスター・ブラック、被告人との接触は禁じられているはずです」

 ハリエットの隣の魔法使いがやんわり声をかけた。シリウスはすぐに声を荒げる。

「まだこの子は十二歳だ! 付き添いもなしに連行するなんて血も涙もない!」

 闇祓い局長の肩書きにはこれ以上もの申すこともできず、押し黙った。

「いいか、全て正直に答えればいい。操られただけだということを強調してな。大丈夫だ、リドルの日記は抑えたし、ダンブルドアももうすぐ戻ってくる。これまで石になった者も直に元通りだ。恐れることなんてない。堂々としていればいい」
「シリウスは……?」
「わたしは傍聴席にいる。発言権がないものでな。代わりにジェームズがいる。大丈夫だ」

 シリウスにそっと背を押され、踏み入れた法廷は黒ずんだ石壁が取り囲む地下牢のような場所だった。正面には魔法使いの面々がずらりとベンチに腰を下ろしている。

 気配を感じ、ハリエットがそっと横を見ると、手前側のベンチにジェームズが座っていた。身を乗り出して彼は口を開きかけるも、状況を見て結局何を言うこともなくまた居住まいを正す。

 ただ、決して目を逸らさず、何度も頷く姿にハリエットは不意に涙が出そうになった。

 ぎゅっと目を瞑り、再び前を向くと、誰か男の声が響いた。

「被告人は前へ」

 部屋の中央には椅子がぽつんと置かれており、鎖がびっしり巻き付いていた。鎖のせいで座り心地が悪そうだという印象は、腰を下ろした瞬間すべて吹き飛んだ。椅子に巻き付いていた鎖が突然動き出し、ハリエットの身体を縛り付けたのだ。ハリエットの顔が恐怖で引きつるのを見てジェームズが思わず言う。

「まだ未成年です。杖も所持していません。鎖を解いてくれませんか?」
「……解いてやれ」

 ファッジの声に、鎖がスルスルと解かれた。ハリエットは安堵したが、拘束の衝撃は消え去ることはなく、青ざめた顔で俯いた。

「懲戒尋問、五月十二日開廷。魔法刑法違反及び特定魔法生物取扱法施行規則違反事件。被告人、ハリエット・リリー・ポッター。尋問官、コーネリウス・オズワルド・ファッジ魔法大臣、アメリア・スーザン・ボーンズ魔法法執行部部長、ドローレス・ジェーン・アンブリッジ上級次官。被告側証人、ジェームズ・ポッター」
「わしも被告人側の証人の一人として数えてもらえんかのう」

 それほど大きな声ではない。だが、重厚に響く声に誰もが顔を上げ、そしてハッと目を見張った。

「アルバス、なぜあなたが――」
「少々遅れてしまった。すまぬのう」

 濃紺のゆったりと長いローブを着たダンブルドアが扉を開けて入ってきた。

「ミス・ハリエット・ポッターは本校の生徒じゃ。校長であるわしにも尋問を見届ける義務があり、また証言をする権利もあると存ずる」
「しかし、停職命令が――」
「少々食い違いがあり、時間はかかってしまったが、理事十二名の署名が集まってのう。ほれ、ここに。コーネリウス、確認するかの?」
「結構。かけてくれ」

 にこやかに笑ってダンブルドアはベンチに腰掛けた。

 ハリエットが椅子の背もたれから顔を出すと、ダンブルドアと目が合った。席が遠く、表情は見えなかったが、ジェームズと同じく頷いてくれたので少しだけ勇気が湧いてくる。

「被告人罪状は以下の通り。被告人は、ホグワーツ魔法魔術学校に存在する秘密の部屋を開き、中の怪物――バジリスクを解き放つことで生徒複数名を石化させた。これは魔法刑法十三条並びに特定魔法生物取扱法施行規則C項の違反に当たる。被告人はハリエット・リリー・ポッター。住所はゴドリックの谷、相違ないか?」
「はい」

 小さくハリエットが答えた。

「被告人は秘密の部屋を開け、バジリスクを校内へ解き放った、相違ないか?」
「はい。でも――」
「被告人はまず始めに猫、そして次にジャスティン・フィンチ-フレッチリー、ゴースト、コリン・クリービー、最後にペネロピー・クリアウォーターを襲った。相違ないか?」
「はい……。あの――」
「バジリスクは制御不能の魔法使い殺しを意味するXXXXXに分類されており、かつ実験飼育禁止令の対象であることも承知の上か?」
「はい。あの、でも――日記に操られていたんです……」

 小さな声だったが、静かな法廷ではよく響いた。

「日記?」
「は、はい。日記にトム・リドルという人の記憶が閉じ込められていて、よく相談に乗ってもらっていたんです。でも、そのせいでトムに心を操られて――」
「日記に心を操られるなんて聞いたことがありませんわ」

 突然甲高い少女のような声が響いた。ファッジが咳払いをした。

「ドローレス・ジェーン・アンブリッジ上級次官に発言を許す」
「失礼。わたくし、あまりに驚いたものですから、順序を間違えてしまいましたわ」

 ファッジの右手側にいる魔女が身を乗り出し、発言した。青白い顔のずんぐりした女性だ。

「わたくしには、事が大きくなったことに怖じ気づき、日記……とやらのせいにしているようにしか思えませんの」
「嘘ではありません。ここに証拠もあります」
「ミスター・ポッター、勝手な発言は慎むように」

 不満そうな顔でジェームズが手を上げた。

「ミスター・ポッター、発言を許可する」
「ハリエットの言う日記がこれです」
「随分ボロボロのようですわね」
「ハリエットの魂と日記が繋がっていたんです。息子のハリーがバジリスクの牙で日記を貫くことでハリエットの意識が戻ったのです」
「ハリー? なぜその場に君の息子がいたのかね?」
「ハリエットが秘密の部屋に連れ去られたことを知り、ハリーは友人と共に部屋の場所を暴き、そしてトム・リドルとバジリスクに挑んだのです」
「驚きですね」

 今度はボーンズが身を乗り出した。片眼鏡が危うく落ちそうになった。

「十二歳でしょう? バジリスクは息子さんが?」
「はい。ダンブルドア校長の不死鳥の助けもあり、何とかとどめを刺せました」
「バジリスクに立ち向かうには勇気がいったでしょう……。驚きです」

 周りの魔法使いがざわめいた。何人かは感心したように頷いている。

「勇気がどうのとは関係ありません」

 アンブリッジが鼻を鳴らした。

「問題は、あの場にポッター家の者しかいなかったということです。やろうと思えば証拠隠滅、もしくは証拠を捏造することなど容易だったでしょう」
「証拠を捏造して何の意味が? 私も私の家族もマグル生まれをホグワーツから追放しようなどと微塵も考えていませんし、何より私の妻はマグル生まれです」
「皆が皆家族と同じ志を持つと誰が言い切れましょう?」

 アンブリッジはにこやかにハリエットを見下ろした。

「ミス・ポッター、あなたはマグル生まれについてどう思う? ホグワーツからいなくなればいいのにと思ったことはある?」
「言葉が過ぎるぞ! そんな失礼なことを聞くなんて――」
「ミスター・ポッター、わたくしは被告人に聞いているんです。ご自身の立場は弁えていただきたいわ」

 ウィゼンガモットの五十名ものメンバーがじっとジェームズを見つめている。ジェームズは苦虫を噛み潰したような顔になった。

「あなたは魔法省の人間ではないのですよ。本来はこの場にいることすら叶わない人物。それなのに傍聴席ならいざ知らず証人になるなんて、一体どれだけお金を積んだのでしょう? それとも、ご友人のミスター・ブラックに頼み込んだの?」
「マダム・アンブリッジ。誤解しないでいただきたいが」

 ダンブルドアが優しい声色で割って入った。

「ジェームズは重要参考人の一人じゃ。バジリスクを倒した息子が未成年だからと証言台に立つのを拒否されたために代わりに参上したのじゃ。ジェームズは事件の後すぐ秘密の部屋に駆けつけ、バジリスクの死骸と日記帳も目撃したと言う。証人になるには充分かと思うが、何か問題がおありかのう?」

 アンブリッジは冷ややかな目を向け、咳払いをした。

「――ではもう一度彼女に問いましょう。ミス・ポッター? あなたはマグル生まれについてどう思う?」
「わ、私は、母やハー……友人から聞くマグルの話はとても興味深くて、あの、だから、マグル生まれを追放しようなんて考えていません……。私はこれからもみんなと一緒にホグワーツに通いたいです」
「……あなた方の主張は理解しましたわ。被告人は日記に操られただけで、マグル生まれを憎んでもいない、と」

 言葉とは裏腹に、アンブリッジはちっとも友好的な表情ではなかった。

「一旦はその話を受け入れましょう。では、ミス・ポッター、日記はどこで手に入れたの?」
「……分かりません。ホグワーツに行く準備をしていたら、いつの間にか教科書の中に紛れ込んでいたのに気付いたんです」
「いつの間にか紛れ込んでいた日記帳に自分の悩みや日常を綴っていたというの?」
「は、はい」
「少しはおかしいと思わなかったの? 怪しいものを信じてはいけないという当たり前のことを両親から教わっていなかったのかしら」
「お――教わりました」

 今にして思えば、あまりにあの日記帳は怪しかった。ひとりでにものを思考し、話しかけてくる日記だなんて。闇の魔法がかかっていることなんて一目瞭然だった。激しい戦争を経験してきた両親からも再三言われていたのに。それなのにこんな事態になって罪悪感でどうにかなってしまいそうだ。これまでの被害者にも、怪物に恐怖した生徒らにも、今まさに迷惑をかけている家族や知り合いにも、その全てに申し訳なくて居たたまれない。

「教わりました。でも、ピーター……ピ、ピーターが……」

 グズグズと泣き出してしまったが、それでもハリエットは拙いながら言葉を紡いだ。

「ピーターのことがとてもショックで、でも、トムは私の悩みを聞いてくれたんです。家族にも友達にも言いづらいことを、トムは全部聞いてくれたんです。友達だと思っていました」
「ピーターというのは?」

 ジェームズが手を上げた。

「ピーター・ペティグリュー。私の友人です。昨年の夏、ハリエットと二人でいる所を死食い人に襲撃され、亡くなりました。ハリエットはずっとそれを気にしていて、夜もうなされていたんです」
「まあ、そうなの……それはお気の毒に」

 ハリエットはおずおずアンブリッジの方を見た。だが、彼女は真っ直ぐジェームズを見ていた。

「ショックな出来事に遭遇し、心が弱っていたところに日記が付け入ったと……そう言いたいわけですね? ですが、そういう時はまず第一に親に相談するものではないかしら? ミスター・ポッター、なぜ彼女はあなたに相談しなかったのでしょうね?」

 グッとジェームズは詰まる。アンブリッジは流れるように続ける。

「あなたが親の役目を放棄していたからと言って、誰も責めはしませんわ。なぜならあなたは魔法界の英雄ですし、私たちの想像以上に忙しかったのでしょう、ええ、きっと。もちろん子供のやることなすこと、いちいち気にかけてはいられないでしょう。でも一つだけ言わせていただきたいわ。自分が子供を放置した結果、このような事態が引き起こされたのですから、その責任を周りに押しつけるのはいかがなものでしょう」
「些細な親子の衝突など靴下の数ほどもある。そこにばかり目を向けて本質を見失っては何のための懲戒尋問と言えよう。それとも、マダム・アンブリッジは、もはや機能していないとはいえ、禍々しい闇の気配を分からないとでもおっしゃるのかね?」

 ジェームズの持つ日記帳を指し示し、駄目押しで更にダンブルドアは続ける。

「これが本物であることはわしが保証しよう」
「……分かりました」

 渋々といった様子でアンブリッジが了承したため、ダンブルドアは流れを修正する。

「問題は、この日記がどうしてミス・ポッターの荷物の中にあったかということじゃ。ホグワーツに行く前なのであれば、なおのこと誰かが意図して日記帳を忍ばせたとしか思えぬ」
「一体誰が」
「私に敵意を持つ者です」

 ジェームズが口を挟んだ。その目は真っ直ぐ傍聴席――ルシウスに向けられている。

 ピーターのことがあってから、ハリエットはあの夏一度も外出していない。唯一の例外は新学期の準備をしにダイアゴン横丁に行った日。教科書の中に紛れ込んでいたというのであれば、あの日書店でルシウス・マルフォイに遭遇したのは偶然とは言えない。

「何か心当たりがあるの?」

 ――だが、これは証拠とは言えない。ルシウスがヴォルデモートの右腕だったことも、彼が出所した今、一歩間違えれば偏見とも取られかねない発言になってしまう。こちらの心証も悪くなる。

 押し黙ったジェームズを見てアンブリッジは鼻で笑った。

「話になりませんわ。だいたい、あなたはなぜあの日ホグワーツにいたの?」
「トム・リドルから手紙を受け取ったんです。ハリエットを助けたいなら一人で秘密の部屋に来るようにと」
「あなたとトム・リドルにはどんな関係があるの? 顔見知り?」
「いいえ。ですが……」
「あなたに用があるから手紙を送ったんじゃないの? 何か嘘をついているんじゃないでしょうね? 本当にトム・リドルは存在するんでしょうか?」

 アンブリッジはゆっくり周りを見渡した。

「そのトム・リドルという者は学生時代に記憶を閉じ込めた、と言うんでしょう? それほどの技術を持っていたということはかなりの実力者。それなのにわたくしはこれまでその名前は聞いたことがありませんわ」

 皆さんはどうでしょう、とアンブリッジは他の魔法使いに問いかける。ざわめいたが、賛同する者はいなかった。

「こうなってしまっては、そのトム・リドルという者の存在、ひいては日記に操られていたということ自体疑わしくなってきますわ」
「――ジェームズ」

 スッとジェームズが顔を上げたのを見て、すかさずダンブルドアはその名を呼んだ。事前に打ち合わせもできなかったことが今になって響いた。今はまだその時ではない――ダンブルドアの真意はジェームズには届かなかった。

「ジェームズ――」
「トム・リドルのまたの名はヴォルデモートです」

 何人かが息を呑み、そしてまた何人かがぶるりと身体を震わせた。思わず周囲に目をやった者もいた。ファッジは青ざめていた。

「ミスター・ポッター」

 アンブリッジは特に怒りで頬をピクピクさせている。

「ここでその名を出すというのは何事です?」
「何事も何も事実です。ヴォルデモートは学生時代、己の記憶を日記帳に閉じ込め、秘密の部屋を開ける鍵として後世に残していたのです」
「その者は死にました。その名を口にしてはいけません!」
「ヴォルデモートはまだ死んだわけではありません」
「ミスター・ポッター!」
「今か今かと復活の時を待っているのです。昨年ホグワーツに忍び込んだのがその証拠! ユニコーンの血を啜り、賢者の石を求め、私の息子と戦った!」

 アンブリッジの顔から表情が消えた。

「罪を認めるのであれば、わたくしも鬼ではありません。まだ退学処分も選択肢のうちに入っていたでしょう。ですが、彼女は己の罪を否認し、あまつさえ父親ぐるみで証拠を捏造しようという始末。あろうことか、口にするのも恐ろしい例のあの人のことを持ち出してこの神聖な場を混乱させるとは悪質極まりないわ。わたくしが思うに、コーネリウス。ミスター・ポッターは、例のあの人を持ち出すことで魔法界が誰のおかげで救われたかを再認識させたいだけなのではないでしょうか?」

 魔法使いらがざわつく。

「となると、その日記帳の出所も怪しいわ。闇の魔術の道具とミスター・ジェームズ・ポッターの関係性とは如何に……また面白い記事が出そうですわね」

 アンブリッジはフフンと鼻で笑う。

「日刊預言者新聞によると、五十年前に秘密の部屋を開けた人物――ルビウス・ハグリッド。彼ともミス・ポッターは親しかったそうね? 大方、彼に部屋の開け方を聞いたんじゃないかしら。――これらのことを踏まえると、いっそのこと、今回の採決も前例に倣うべきとわたくしは判断しますわ」

 流れるように、あまりにも簡単にアンブリッジがそう口にしたので、ジェームズは理解しきれずに一瞬固まった。

 今なんと……まさか――まさか!

「アズカバン……?」

 震え声でジェームズが問いかける。周りを見渡しても、皆ジェームズから目を逸らし、しかし異を唱えることはしない。

「冗談でしょう?」
「ミスター・ポッター、残念ながら、前例に倣うべきこともあるでしょう」

 ジェームズがゆっくりと法廷を見渡すと、皆が揃って目を逸らす。中にはジェームズが親身になって手助けした者もいる。だが、一様にジェームズと目を合わせようとしない。魔法省とジェームズを天秤にかけた結果がこれか。

 魔法界には、ジェームズに好意的な者ばかりではない。それは分かっていたつもりだった。それでも、まさかこんな仕打ちをされるとは思いも寄らなかった。

「あなたたちとて子を持つ親だろう! 自分の子供がこんな目に遭って黙っていられる親がいるか?」
「ミスター・ポッター」

 ため息混じりにアンブリッジが割って入った。

「ここは法で裁く場であって、情に訴えかける場ではありませんわ。確かに状況は気の毒ではありますが、身から出た錆。大人しく判決を受け入れるしかありませんわね」
「駄目だ、こんなの駄目だ……」

 焦りからジェームズの呼吸が浅くなる。

「この子がアズカバンなんて耐えられない……。どうか、どうかお願いだ。この子はまだたったの十二歳なんだ……」
「それでは採決を取りましょう」

 アンブリッジが静かに言う。流れがどちらに向いているかは一目瞭然だ。

 誰もが息を潜めたその時――バシッと姿現しの音が響き渡った。音の出所は法廷の中央だ。皆の視線を奪い、その場に現れたのはドビーだった。